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唐丹の漁業の特色

唐丹の漁業の特色1唐丹がある三陸海岸の沖合は、親潮と黒潮がぶつかる良漁場で、世界三大漁場のひとつとして昔から水産資源に恵まれてきました。そうした環境を背景に、唐丹の漁業は、定置網漁、養殖業、ふ化・放流事業、採貝藻漁業などを行っています。唐丹にいつから人が住み、漁業を始めたかは定かではありませんが、本郷地区などで縄文時代後期と見られる土器が発見されており、相当昔よりこの地で人が生活を営んでいたことが想像されます。漁業もきっとそんな昔から営まれていたに違いありません。

唐丹の漁業の特色2唐丹の漁業の特色3定置網漁は鮭が主ですが、その他に、ブリ、サバ、ヒラメ、カレイ、イカなども水揚げしています。鮭については、孵化・放流事業も展開しており、安定した稚魚生産と適時放流に努めています。養殖業は、ワカメ、昆布、ホタテ、ホヤ等を行っています。どれも三陸の栄養豊かな海で育った素晴らしい水産品ですが、とりわけワカメは、「三陸産のワカメ」として市場から高い評価を頂いています。採貝藻漁業は、アワビ、ウニ、天然ワカメなどを収穫しています。特に唐丹のアワビは鮮度、味ともに市場から高い評価を頂いており、大きな収入源にもなっています。水産加工品としては塩蔵ワカメを扱っています。唐丹は、塩蔵ワカメ発祥の地でもあります。また、震災で破壊された加工冷蔵工場も復旧し、皆様によりタイムリーで鮮度の高い水産物の提供が可能になりました。

唐丹の漁業の特色4その他の活動として、天然素材のわかしお石鹸の積極的な活用を進めることで海の環境保全に務めたり、遭難救助・水産技術向上などを目的に様々な研修会も実施しています。

唐丹の漁業の一年

春ワカメ・メカブ唐丹の漁業の一年・春

春の訪れと共に、メカブやワカメの収穫がピークを迎えます。ワカメは一年生の海藻で、前の年の6月~8月に採苗したものを収穫します。収穫期のワカメは2メートル近くにも成長します。また、ふ化・飼育した鮭を河川に放流するのも、水温が上がり稚魚の餌になるプランクトンが増えるこの時期です。鮭は自分の生まれた川の匂いを覚えていて、海で生活した後に約4年かけて生まれた川に帰ってきて産卵します。鮭が帰ってくる率を回帰率と言いますが、天然ものに比べふ化・放流事業による鮭の方が回帰率は高く、安定的な水産資源の提供に貢献しています。

唐丹の漁業の一年・夏夏昆布・ウニ・ホヤ

5~6月頃より昆布の収穫が始まります。唐丹の昆布は真昆布です。真昆布は、数ある昆布の種類の中でも代表的な良質昆布で、唐丹の昆布は肉厚で幅も広いですから、佃煮などに最適です。ウニ漁も夏にピークを迎えます。漁船から箱眼鏡で海中をのぞき、先端に網がついた竿を操って収穫します。ウニは人口種苗による育成で成長し収穫するまで約3年かかります。ホヤの収穫もこの時期です。ホヤは海中に「幹縄(みきにわ)」と呼ばれる太いロープを固定し、そこへ垂下して養殖する「はえなわ式」という方法で育てます。ホヤは見た目から敬遠される方もいらっしゃいますが、新鮮な磯の香りと甘さ・苦さを兼ね備え、大変美味で酢の物にも最適です。

秋鮭・ホタテ・イカ唐丹の漁業の一年・秋

鮭の収穫が大きなイベントです。北太平洋を泳ぎ続けた鮭が産卵のために生まれ故郷に帰ってきます。最漁期は11月でほとんどが定置網漁で収穫します。岩手の鮭漁は江戸時代には既に盛んに行われており、当時、唐丹が属していた伊達藩のお隣、南部藩では重要な財源としてなっていたようです。
ホタテは年中水揚げされますが、最漁期は7月~2月です。ホタテは4月頃に生まれる幼生を採苗器といわれるものに付着させ稚貝を採取し、耳つりと呼ばれる手法で海中に垂下し育成します。3年ぐらいで収穫できます。イカは、スルメイカが主流で漁期は6月~12月。特に晩秋から冬にかけては身も厚く大型のイカが収穫できます。昼イカ漁の場合、夜が明ける前の早朝に出港し日の出とともに漁を開始します。

唐丹の漁業の一年・冬冬アワビ・毛ガニ・カキ

11月頃よりアワビ漁が始まります。朝早くから漁船を出し、箱眼鏡で海中を覗いて竿の先にカギのついた道具で岩からアワビを剥がして収穫します。アワビの大きさを備え付けの定規で計り、ちいさなものは海へ戻します。アワビは生でも食しますが、中華料理の材料として乾鮑(かんぽう)に加工され出荷もされます。三陸のアワビは高級品として取引され大きな収入源になっています。またこの時期は毛ガニのシーズンでもあり、最も味が良いと言われています。水温が低いために身が締まり甘みが凝縮されるからです。